【アムトラック】ワシントン州脱線事故の初期報告書公開
昨年12月18日にワシントン州で発生したアムトラック脱線事故。
そもそも事故はなぜ起きたのでしょうか?
死亡者3名、負傷者70名以上を出した脱線事故に関する初期報告書をNTSB(米運輸安全委員会)が1月5日、発表した。
そもそも、この脱線事故について知らないという方はこちら↓
さて、NTSBの報告書をまとめると以下の通り。
事故当時の状況:
- 14両編成の列車が時速78マイル(約130キロ)で走行中、高架手前の曲線で脱線。
- 脱線した車両のうち4両が高架下の高速道路に落下。
- 脱線した列車には乗客77名、乗務員5名が乗車。
- このうち3名が死亡し、乗客乗員合わせて62名が負傷。
- また、高速道路を走行していた8名も負傷。
- この事故による損害は4000万ドル以上(約45億円)に上る見込み。
↑脱線した車両の様子。
まだ初期調査の段階なので事故原因の断定に至ってはいないが、脱線した曲線での速度制限は時速30マイル(約48キロ)であったことから、速度超過のため脱線したものと考えられている。
それでは、その路線には制限速度を示す速度標識はなかったのか?
いや、実は事故現場に差し掛かる2マイル手前と曲線区間直前の2箇所に30マイル制限を示す速度標識が設置されていたことが、NTSBの調査によって判明している。
いやいやいや、そんな人力に頼らなくても速度超過していたら自動で列車を止めたり速度を落としてくれる安全装置が付いているんでしょ?
はい、付いていました。
でも、まだテスト段階だったため、作動していなかったのです。
そして興味深い(皮肉?)ことに、NTSBはこの報告書において、
「もしもPTC(Positive Train Control)が作動していれば、まずは運転士に速度超過を警報で報せ、それでも運転士が適切な処置を取らなければ強制的にブレーキを掛けて、列車を減速させていた」と発表しております。
NTSBの初期報告書はこちらから(英文)↓
https://www.ntsb.gov/investigations/AccidentReports/Reports/RRD18MR001-prelim.pdf
「PTCが作動していれば脱線は起きなかったのか?」については今回の報告書では言及されていませんでした(検証が難しいのでその可能性については恐らく最後まで言及されない気もしますが)。
3名の命と多くの負傷者を出したこの脱線事故。
この脱線事故については、今後も報告していきます。
===轍娘===